2023年の占いを星座別で行いました。
それぞれの星座の2023年の雰囲気を、
変なSS(ショートストーリー)と時期で書いています。
書かれている通りのことはまず起きませんが、
良い話だな
と思ったら良いことが待っていますし、
ちょっと含みのある話だな
と思ったら、
引っかかった箇所に関しては
気に留めておくといいかも知れません。
人物や状況設定などには、意味はほとんどありません。
星座別ですが
占い自体は占星術ではなく、
タロット78枚を用いています。
目次
牡羊座
全体:「中々すごいじゃないか」と父は言った。「これだけ成績が上がるなんて、よく頑張ったなあ」「……まあね」厳しい父に褒められることは稀だった。本当ならば、喜ぶべきであるのだろう。だが、私はあまり喜べなかった。頑張ったことは、他にもある。部活、趣味、家での手伝い。だが、そこを父が褒めることはない。「今度、何か買ってやろう。欲しいものはあるか?」欲しいものはあるが、父に買って欲しい訳ではない。「いいよ。何もいらない」父は不思議そうにする。この人はずっと、私が褒めて欲しいことに気づいてくれない。けれど良いのだ。私の居場所は、ここではないのだから。
時期:1月から3月にかけては目の前のことに集中。4月頃から成果が現れ始め、5月6月で他者からの評価が得られる。8月までに総合的な成果が決まる。9月からは、それを受けて周囲が変化を始める。その変化においては、他人に主導権を握られるため、やや不満を感じるかも知れない。
牡牛座
全体:そよそよと風に当たって、育てている植物の葉が揺れていた。私はそれをぼんやりと見ていた。せっかくの休日にも関わらず、中々やりたいことが思いつかない。ある意味では贅沢な時間なのかも知れないが、ほんの少し、もどかしさもあった。「本でも読もうかな」口に出して、思い切って立ち上がる。部屋に戻って、適当な本を一冊手に取って戻った。大切な人の書いた本だが、中々読む気力が湧かずに、ずっと棚の上に放置していた。開いてみれば、するすると頭に入って来る。もっと早く読めば良かったと思いながらも、これだけの時間をかけなければ読めなかったのだとも、思った。ページに一つ涙が落ちた。
時期:1月から5月にかけては、今一つ気分が盛り上がらない。とは言えそれで腐って不真面目に生きると、さらに転落していく。6月から外的要因によって奮起させられるも、8月に大きな挫折を経験する。9月頃から立ち直り、少しずつではあるが気を取り直していける。
双子座
全体:自販機で飲み物を選んでいると、「お疲れ様」無愛想で、挨拶をしても、いつも聞こえるか聞こえないかの声でしか返してくれない同僚が、珍しく自分からそう声をかけてくれた。内心では驚きながらも、さすがに顔には出さずに、何でもないように「お疲れ様です」と返した。それで終わらせるのもどうかと思って、「最近、暑いですよね」と当たり障りのない雑談を振る。「暑いね」「俺、沖縄とか行こっかなって」「いいんじゃないかな」盛り上がらない会話ではあったが、その盛り上がらなさが、どことなくちょうど良い感じもした。「行ったらお土産とか買って来ますよ」と言って、同僚と別れた。どういう気まぐれか知らないが、悪い気はしない。半ば冗談ではあったが、本当に沖縄に行ってみるかと、カレンダーを見た。
時期:年始めは良いスタートを切るものの、2月から混乱が始まる。5月に状況が整理されて、過ごしやすくなる。特に7月は気分が良い。8月から少し自分の中に迷いが出始めて、11月に大きく揺らぐ。12月は調子を取り戻す。
蟹座
全体:懐かしい我が家が、夕影の中にやっと見えた。四ヶ月ぶりだろうか。すぐに帰れる予定だったのに、ずいぶんとかかってしまった。男は最後の力を振り絞って、家の扉を開いた。夕日がほこりを照らす。ため息が出るが、掃除をする余裕はない。空腹も感じているが、そんなのは後回しだ。報酬の入ったリュックを床に置いて、寝台に寝転がった。目をつぶり、男は考える。しばらくはこの金で生きていける。だが、冬を越すには足りないだろう。もう一度、あと一稼ぎする必要がある。出来れば、今度は短い期間で、たっぷりと稼げる仕事がいい。そんなものはないと分かってはいたが、男は夢想する。そのうちに、眠りに落ちた。
時期:2月から、感情が抑えつけられるような感覚がある。5月に自分らしさを見失い、6月に決壊。8月頃から立て直そうとするも、本格的に調子を取り戻せるのは12月頃になる。
獅子座
全体:ダイエットは明日から、と唱え続けて二ヶ月。とうとう明日がやって来た。この日のために靴や服も新調した。よし、と準備運動をして、走り出す。いきなりの激しい運動は良くないと知っている。程々に、程々に。だが、かなりのスローペースで走っていたにも関わらず、数分で息切れが始まった。まだまだ見慣れた家の周辺だ。さすがに、情けない。だが、こういうのは続けることが重要だとも聞く。心持ちペースダウンした。走るというよりは歩くという速度にはなってしまった。それでも、中々息切れは収まらない。一旦、落ち着いてから、またペースを調整し直した方が良いかも知れない。ちょうど公園が見えた。よろよろとベンチに近づいて、どっしりと腰を下ろした。まずは始めた、ということが、大事だから……。
時期:2月頃から5月頃まで気力が湧かず、周囲に甘えがち。6月頃になってやる気を取り戻すものの、頑張り過ぎて7月頃からダウン。気持ちに釣られて、経済状況にもやや影響が出る。11月頃に深く反省して、12月からマイペースに歩き出せる。
乙女座
全体:一週間程前から、アラームが鳴るより先に、ワン、という声で起こされるようになった。布団が微妙に引っ張られ、吐息が頬にかかる。「もう少し寝かせてくれよ……」言ってみるも、相手には全く届かない。ワンワン、と無邪気に呼びかけられる。目を瞑ったままで手を伸ばすと、べろべろと舌で舐められた。さすがにこの手を布団に触れさせたくはない。仕方ないなと起き上がった。朝の光がカーテンの隙間から差している。そして、ちょうどよくピリリりリとけたたましくアラームが鳴り出した。「ありがとね、起こしてくれて」と頭を撫でると、小さな命はまた吠えた。
時期:1月から2月まで調子が良い。4月から7月まで怒涛で、自分を見失いがち。7月にペースメーカーが現れて、暴走を律してくれるようになる。9月に新しい物事が始まる。10月から12月にかけては落ち着かない上、自分の落ち着きのなさが周囲にも波及する。芯を持つことが大切。
天秤座
全体:子供が「まだぁ?」と、何度目かの声を上げた。「さっき見たでしょ」「さっきじゃないって。ずっと前だよ」子供は勝手に冷蔵庫を開けて、上段を見ようと伸び上がる。「危ないから」仕方ないなと、上段からカップを一つ取り出して、子供の前で揺らした。中にはピンク色の液体が入っている。「ほら、まだ固まってない」「ほんとだ……」心から落ち込んでいるような声に少し笑いながら、カップを戻した。そう言えば、自分も子供の頃は、大人の言う「すぐ」を長く感じたりしたものだ。「まだぁ?」とまた子供は言う。「あんまりしょっちゅう開けると、ゼリーが冷えないから、もう駄目」子供は不満そうな声を上げた。
時期:1月から4月にかけて、身辺が忙しく頭を悩ませることが増える。5月から7月にかけて経済状況が落ち着かない。8月から9月にかけては何となく冴えない。10月は良い習慣を始めるのに向く。11月12月は再びのんびり気分。
蠍座
全体:「完成じゃあ~!」「どうしたんですか、博士!?」「ついに完成したぞ!」「な、なんですって。まさか、ずっと研究していた、あの!?」「まさしく! 喜べ、これでとうとう大金持ちじゃぞ!」「いえ、待ってください博士」「何?」「この発明の価値が分かるものはまだ、この世に博士と私しかいません。大金持ちになるには、誰にでも価値が分かるようにしなければ。それに私たちには知名度もありません。ですから、次は」「次は」「広告です。広告を打たねばなりません。この発明を世界に広めるために!」「そ、そういうのは君がやってくれるんじゃないのか」「私だけでは手が足りません。博士、次はその頭脳を広告に使ってください! あなたになら出来ます!」「まあ出来るが」「頑張りましょう!」
時期:1月は飛ばしているが、2月から6月までは程々な感じ。7月に大きな収穫を得る。8月から11月にかけては、身辺充実して、自分自身もこつこつと成果を上げていける。12月に突飛だがナイスな思いつきを得られる。
射手座
全体:暗闇に感謝したのは生まれて初めてだった。人々の視線から逃げるため、街の暗がりから暗がりへ渡る。まるで野良猫のような気分だった。惨めさに泣きそうになる。鼻水をすすりながらも、また人の流れが途切れた隙をついて、道に出る。だが。「✕、○▲✕✕」突然、腕をつかまれた。横に立っているのは見慣れない装束、そして人間とは思えない皮膚の色をした、得体の知れないモノ。私の顔を見ると、目らしき裂け目が、広がった。「○○◇✕……?」何を言っているか分からないが、よくない展開であることは分かる。腕を振り払って、再び地面を蹴った。
時期:1月から試行錯誤を繰り返すが上手くいかないことが多く、4月から周囲との関係が悪化している気分に襲われる。7月に強く行き詰まりを感じる。9月に成功の兆し。10月からは再び迷走する。12月にも不調和な感じを覚える。
山羊座
全体:霧の中に、光が差した。顔を上げると、待ち合わせ場所に人の姿が見えた。「おはよう」声をかけるとその人も「おはよう」と応えてくれる。そして駆け足気味に、こちらへ近寄って来た。「寒いね」と霧の中から現れた友人は笑った。横並びになって歩き、待ち合わせ場所を通り過ぎて、その先へ。「そろそろ、新しい手袋買いたいんだけど、一緒に買いに行かない?」「お、良いね!」快い返事が戻って来たことに、こっそりと安堵する。仲直りはしたけれど、本当に、心底わだかまりがなくなっているかは分からない。「あ、じゃあさ。それつけて冬休みとか、どっか遊びに行こうよ。スキーとか」「良いね!」一つ一つ、お互いに何か言う度に、そっと霧の中の友人の様子をうかがう。けれど、そのくらいがちょうどいい。ずっと同じ関係ではいられないのだから、時々こうして少し壊し、少しずつ直して、新しく関係を作っていくのだ。
時期:1月から大きな変化が起きて、3月頃まで忙しい日々が続く。4月頃から疲れが見え始め、5月から6月にかけてすれ違いによる周囲との争い。7月に優しさを取り戻し、8月9月は周囲との関係の回復に連れて、自分自身も気力を取り戻していく。10月から内省に入り、12月に答えを得る。
水瓶座
全体:近所の公園にあった木が切り倒された。特別な木ではないけれど、しいて言えば、子供の頃に何度か木登りをした覚えがある。それと夏には良い日陰になったので、鬼ごっこに疲れた時などには木陰で休憩した。秋にはどんぐりが落ちていたので、拾い集めるのが楽しみだった。あぁ、案外思い出があったな、と思い、少しだけ切なくなった。そして忘れた。この歳になると、得るものよりも失われるものの方が多い。数えていると、きりがない。しばらくして、木があった場所の近くには、新しいベンチが出来た。切り倒した木で作ったベンチであるらしい。時々、散歩のついでに、私はそのベンチに腰かける。木のあった場所には、奇妙なオブジェが立っている。
時期:2月に悩み事を無にするような状況の変化が起きる。3月は落ち着かないが、4月から立て直せる。ただし6月から8月は周囲との関係に注意。とりわけ8月は疑心暗鬼が激しい。人間関係の貯金を使い切らないように。9月に再び大きな変化が起きるが、今度は無ではなく良い方向へ働く。10月から12月にかけて、冷徹になり過ぎる。
魚座
全体:あるところに、敵対する家に生まれながらも惹かれ合ってしまった、二人の人物がおりました。「両家の争いを終わらせるしか、私たちが結ばれる道はない。やろう」「でも、そう簡単に上手くいくだろうか」「何か作戦がいる」二人は必死に考えました。最初は中々上手くいかず、落ち込み、喧嘩をする日もありました。ですがそのやり取りの中で、二人の結びつきはより一層強まりました。「この作戦であれば!」何度目かの挑戦です。それは家だけでなく、何も知らない周囲も巻き込む大きな作戦でした。大忙しで準備をし、決戦の日が訪れます。「行くぞ」「応!」二人は手に手を取って、駆け出しました。ハッピーエンドはすぐそこです。
時期:1月から3月にかけて、やる気が空回り。とりわけ2月は難しい。5月から6月にかけては落ち着かない。7月から調子が上向きになり、8月には完成度の高い状態に。9月は趣味などのプライベートな部分で嬉しいことが起きる。10月はやや休憩。11月から12月にかけて充実する。