2022年の占いを星座別で行いました。
それぞれの星座の来年の雰囲気を、
気持ちファンタジーっぽく書いています。
書かれている通りのことはまず起きませんが、
良い話だな
と思ったら良いことが待っていますし、
ちょっと含みのある話だな
と思ったら、
引っかかった箇所に関しては
気に留めておくといいかも知れません。
人物や状況設定などは、
意味がある場合もあれば、
意味がない場合もあります。
色のついている箇所は、
特に重要な箇所だったり、
ラッキーなんちゃらだったり
するかも(しないかも)知れない。
星座別ですが
占い自体は占星術ではなく、
タロット78枚を用いています。
目次
牡羊座
能力的には何ら特別なところはないが、野心だけは人一倍あった一介の剣士が運良く成り上がり、その国は興った。
王となった剣士の野心は留まることを知らず、思うままに周辺国への侵攻を繰り返した。
侵攻は成功し、国は順調に豊かになっていく。
しかし、横暴過ぎるやり方に、国民や植民地にした土地の人々は不満を抱いた。
幾度となく内乱が起こった。元剣士はその度に争いを平定した。徐々に内乱の規模は大きくなっていく。
崩壊はすぐそこにある。
GOOD 2月、7月、11月
BAD 3月、6月、12月
牡牛座
「今年はえらい年だな」
疲れを隠そうともせず、農夫は言った。
遅い昼休憩を取っていた同僚たちは、ばらばらとうなずいた。
連日、焦熱地獄のような暑さが続いていた。今日も朝からずっと、灼熱の太陽がじりじりと照りつけている。
体が元々弱い者や年寄りは皆倒れた。内、何人かはもう帰らぬ人となっている。
しかし、悼む余裕はない。明日は我が身と恐れながらも、農場主の命によって、農夫たちは作業を続けていた。
「もう全部ほっぽって、水浴びにでも行かねえか?」
そりゃあいいとあちこちで同意の声が上がる。笑い混じりではあったが、どこか冗談では済まない、切羽詰まったものがあった。
そこに、農場主のお付きをしている一人が、青い顔をして駆けて来る。
「おい大変だ!」
暗い笑い声は、さらに大きくなっていった。
GOOD なし
BAD 6月、8月
双子座
その旅人の重苦しい格好は、この国では浮いていました。
「さぁさ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 世紀の大魔術のお披露目だ!」
大道芸人の呼びかけに、人だかり。
その一番後ろで、旅人は立ち止まりました。
私も旅人のそばで立ち止まります。宿屋の娘として、案内をお願いされたからです。
「見たいんですか? もっと腕の良い大道芸人のところへ案内しますよ」
旅人は大道芸人を見詰めながら、ゆっくりと首を振りました。
「ここに取り出したるは、魔法の布! 今からこれに火をつけて、飲み込みます!」
「あれはどうも、危ないですね」
旅人の声は小さかったのですが、騒がしい人々の声にかき消されることなく、よく聞こえました。「危ない?」と聞き返すと、旅人は私の頭を撫でながら言いました。
「仕掛けが上手くいっていない」
旅人の言葉通りでした。元々どういう芸を予定していたのか、私には分かりませんが、大道芸人は小声で「あれ?」と呟きながら、火のついた布を不安げに見つめます。
観客は、最初はその様子も芸の一部だと思い囃し立てましたが、だんだんと、様子がおかしいぞと首を傾げます。
旅人はふと、また歩き始めました。重たい外套の裾を、私は追いかけます。
GOOD 6月
BAD 2月、3月、8月、12月
蟹座
カツカツカツ、と学舎に響く靴の音。
「来たな」と目を向けると、女教師が扉を開けた。
今日も厳しい顔をして、教室を見渡す。睥睨という言葉の合う視線だ。
自然と生徒たちの背筋が伸びる。中休みに寝ていた人も、目をきりりと開いて女教師を見る。
「授業を始める。号令」
厳しい教師というのは往々にして嫌われる。
実際、この人がこのクラスの授業を受け持つことに決まった時は、「ハズレだな」という声も多かった。
しかし、授業を毎日のように受けていれば、自然と気がつく。自分たちのために考え抜かれた教材、内容の濃い授業。
夏の試験では、このクラスが平均点、最高点得点者の人数、ともにトップだった。
今もまだ、厳しさにうんざりすることはある。しかし、あくまで生徒のためであることは、分かっている。それにこの教師は頑張り屋ではあるが、分からず屋ではないから、無理はするなと言ってくれる。
だからこそ、かえってやる気が出る。よし、とペンを手に持った。
GOOD 6月、7月、11月
BAD 2月、9月、12月
獅子座
まぶたに当たる日差しで目が覚めた。
目を細めながら、渋々起き上がる。
窓を開けると、階下のパン屋から盛んな呼び込み、話し声が聞こえて来た。
観光客のやって来る季節だ。街中賑やかで解放的な気分が漂うが、自分にはほとんど一切の得がない。
むしろ邪魔なくらいだった。普段は混まない店が混み合い、うるささで勉強のための集中力が削がれる。
いっそ今日は遊びに行ってみようかと、外を見ながら思う。
このところは、遊びに行った方がまだ生産的かも、と思うような生活をしてしまっている。
しかし、考えている間に活気にあてられて、窓を閉め部屋に舞い戻った。
いくら眠っても、疲れが取れない。ベッドに寝転がり、今日も一日無為に過ごす。
GOOD 7月
BAD 5月、10月、12月
乙女座
あの時、誘惑に負けなければと、己を呪う。
「足りねえじゃねえかよ。くすねてんじゃねえよ」
「く、くすねてません。最初からあの人、それだけしか持ってなくて」
「は? 何か? 親方が寄越した情報が間違ってたって? そう言いてえのかテメェは? あぁ?」
「ちっちが、ぐぇぅっ」
あの時、今思い返せば、少し浮かれ過ぎていた。仕事に融資を受けることが決定したり、頼もしいパートナーを得たりと、嬉しいことが立て続けに起こったから、世の中って案外にチョロいのではと思ってしまった。
しかし、まだ理想は捨てていない。再起の芽はまだ残っている。
蹴られ、殴られながら、輝かしい未来を夢見る。
GOOD 3月
BAD 5月、8月、9月、10月
天秤座
女王は自室から国を見下ろした。
長年変わらぬ街並み。だがこのところ、少し明るく活気づいて見える。
新たな金脈の発見によって、国は盛り上がりを見せていた。
女王は、女王となる前からずっとこの国を見ていたが、王宮や街がここまで活気づいているのを見るのは、初めてのことだった。
金脈の価値以上に、歴史の長いこの国に、まだ未知の可能性があると分かったことが、人々を喜ばせているようだった。
以前よりも少し豪華な食事を取り、柔らかな服に袖通す。
かつてない浮かれ調子に、一抹の不安はある。
女王である自分は、きちんと律していかなければならないと、身を引き締めた。
GOOD 7月
BAD 9月
蠍座
ある大国の崩壊によって、その国は生まれた。
行き場をなくした人々が集まって出来た、寄せ集めの国である。
国と呼ぶが、明確な「上」は存在しない。相互扶助で成り立つ場である。
しかも、出来たばかりの頃は皆疲弊していたため、発展ではなく補償に手を回さざるを得なかった。
だが、皆が自分の出来ることを懸命にすることで、その国は危うくも、再びの崩壊を逃れ続けた。幸運にも恵まれて、不安定ながら今もその国は続いている。
GOOD 3月、11月
BAD 1月
射手座
男の日課は、噴水のある公園のベンチに腰かけて、パンを食べながら行き交う人を眺めることである。
大きな事件など滅多に起きない。
男が今までに見た中で、一番大きな事件と言えば、鳥の喧嘩である。
パンを食べ終えたら、ふわぁとあくびをする。
目をつむって、夢と現実のあわいを漂っていると、たまに良いアイデアが浮かんで来る。
男は画家だった。あまり売れてはいないが、とは言え食い詰める程ではない。
パンを包んでいた包み紙にも、男の絵がプリントされている。
子どもたちの笑い声が聞こえて、夢から引き戻された。
大きく伸びをして立ち上がる。さて午後は、花屋から頼まれた仕事を終えたいところだ。
GOOD なし
BAD なし
山羊座
「ご決断、お見事でした」
会議を終えて廊下に出ると、側近が、声を潜めて言って来た。
「全く大臣共は、ぐずぐずと愚にもつかないことばかり言う」
「えぇ、はい、全く。だからこそ、この国にはあなたが必要です」
「ですが、一度の、しかも些細な失敗でいきなり降格というのは、少し厳し過ぎるのではないですか? 過度に厳しい処断を続けると、人心が離れてしまう恐れがあります」
そう言ったのは、側仕えになったばかりの女だった。有能な女だが、事なかれ主義のところがあるのが玉に瑕だ。
「規模など関係ない。国民の模範であるべき人間には、失敗など許されない。貴様もあまり余計なことを言わない方が良いぞ」
「……申し訳ございません」
善良な人々が、正しく良く生きる、尊き国。理想はまだ遠い。
GOOD 2月
BAD 3月、4月、6月、7月
水瓶座
「毎度あり。今後ともご贔屓に」
レジスターに金を仕舞い、商人は一息つく。
そろそろ昼食の時間だ。
店の扉に「休憩中」の看板をかけ、いつもの食堂を訪れる。
見慣れた顔の店の親父に「いつものでいいかい」と問われ、うなずいた。
飯を待っている間、他の客の会話を聞くともなしに聞く。
長く、優柔不断な王の下で迷走していたが、つい最近とうとう王が変わった。まだ新たな王の力は未知数だが、どうあれこれから国も変わっていくだろうと、人々は期待半分、不安半分で噂している。
「お待ち遠さん」
「お、どうもね」
そうは言っても、自分の生活が大きく変わることはないだろう。死ぬまでずっと、変わらぬ日々が続く。
ため息をついて、食事を口に運んだ。
「おい親父、これいつものじゃねえぞ。辛い」
「あれぇ? アンタ、いつもこれ頼んでなかったっけ。取り替える?」
「いやもう手つけちゃったし、いいけどよ……」
じっくりと食べてみると、案外に美味かった。
GOOD 12月
BAD 4月、11月
魚座
「先輩! 木材どこ持って行けば良いですか!」
「馬鹿お前、さっき言っただろうが! 一回で覚えろ!」
「はいすんません! で、どこですか!」
言われた通りに資材を運び込み、一息つこうとすると、別の場所から自分を呼ぶ声がした。「はい!」と返事一つ、慌てて駆け出した。
さすがに疲れて来たなと汗を拭った時、誘惑するような声がした。
「なあお前、ちょっと休まねえか?」
腕は良いものの、態度があまり良くない先輩だ。
揺らされる竹筒に、思わずごくりと喉が鳴った。けれど、もう一踏ん張りすれば、休憩時間になる。
「あ……あざす。でもすんません。俺、呼ばれてるんで!」
「立派じゃねえか」
懐深そうな声に振り返った。
「親方!」
「この不良め。こいつを見習えよ」
不良の先輩は親方に頭を殴られ、持ち場へと蹴り飛ばされた。
親方の大きな手に、頭を包み込むように撫でられる。
「お前、頑張ってるな。今度、俺の手伝いするか?」
「ほんとですか! あざっす!」
サボらなくて良かった! 胸を撫で下ろし、仕事に戻る。一層やる気が湧いて来る。
GOOD 9月
BAD 6月